薙刀道教範 美田村 邦彦

武は和なる精神にして、武を尚ぶ(たっとぶ)の思想はその目的を和たらしめんとするものなれば、武を取りて武に終わる所謂虚武にあらず、実武なり。

神代此の方、世々武を尚び、武を以って政を執り、武を以って歴史をつくりあげたるものにして、これ皆虚武にあらず、実武即ち和の精神なり。

而(しこう)して和の精神は万物融合の上に成立す、万人の中に分を以って存在しその己の分に応じたる行を遂行する事に依りて一体を保つ大和なり。即ち、個々の特質、分を通じてその本質を生ぜしめ、しかもそれが一に帰する和にして此れに依りて個々の発展向上は国家全体の隆昌発展となるなり。

かかる和の精神を目的とせる武は、殺人を目的とせず活人を目的とせるものなるは、言うに及ばず、破壊の武にあらずして創生の武にあり。